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2023-03-17

対物レンズによるダイオードレーザービームのコリメーション

アプリケーション例の要約

設定の詳細

  • 光源
    − 非点収差IRレーザーダイオード
  • 構成
    − 発散レーザーダイオードをコリメートする反射型レンズ系
  • ディテクタ
    − 光線の視覚チェック(3Dディスプレイ)
    − 光線の方向(ドットダイアグラム)
    − 波面エラー検出
    − レンズの後方の位相収差
    − ビームパラメータ(M²、拡がり)
  • モデリング/設計
    − 光線追跡:光学系と波面エラー計算に対する最初の洞察
    フィールドトレーシング:ビーム品質におけるレーザービームクリッピングの影響

システムの図解

モデリングおよび設計の結果

まとめ

非点収差レーザーダイオードのコリメーションのためのレンズ光学系のパフォーマンスを以下の手順で調査した:

第一ステップ
波面エラー計算の光線追跡評価

第二ステップ
回折効果を引き起こすビームクリッピングとビーム品質への影響を確認するためのフィールドトレーシング評価

アプリケーション例の詳細 システムパラメータ

関連するアプリケーション例

  • BDS.0001、BDS.0002およびBDS.0003は反射型ビーム伝送システムを扱う。
  • この例では、コリメーションレンズ系を解析する。
  • 特に、コリメーション光学のアパチャーにおけるビーム切断(ビームクリッピング)の影響を解析する。
  • BDS.0002とBDS.0003では集光を扱う。

仕様:非集光入射レーザービーム

レーザーコンポーネントからのシングルモードIRダイオードレーザー

仕様:コリメーション対物レンズ概要

仕様:コリメーション対物レンズパラメータ

アプリケーション例の詳細 シミュレーションと結果

初回シミュレーション距離:非点収差ガウシアン

使用しているガウシアンインプットビーム非点収差の形状により、光線追跡もしくは幾何学的フィールドトレースプラス(GFT+)を使用する場合、初回のシミレーション距離の特別な処理が必要となる。

予備知識
  • 光源の編集ダイアログから直接、光源とインプット平面(図参照)の距離を特定して光源モデリングを行うことは可能。
  • シミュレーションエンジンの設定を問わず、この内部で考慮される距離回折効果を含む物理光学アルゴリズムによって扱われる。
    また、非点収差の考察も可能である。

初回シミュレーション距離:ガウシアンビーム

通常は、ガウシアンビーム光線追跡によってモデリングされ、ウエストから幾何光学を通じて伝送する場合、光は発散しない。発散はガウシアンウエストサイズ、たとえば回折によって単一で定義されるからである。

  • 対称的なガウシアンビームに対しVirttualLabは、光線追跡や幾何学的フィールドトレースプラスをシミュレーションエンジンとして使用しても、発散を計算するアルゴリズムを提供している。
  • しかし、非点収差のガウシアンビームに対しては、幾何光学伝播が続く前に、まず、回折領域と呼ばれる場所からの光を伝送することは依然として必要である。
    ヒント:
    非点収差のガウシアンに対しては、インプット面までの距離は光源の編集ダイアログで最低でもレイリー長の10倍で設定される必要がある。

ほとんどの集光されたガウシアンにとって、発散は無視されることがある。光は単なるガウス変調を考慮した平面とみなされるからである。そのためここでは特別な配慮が必要となる。

光線追跡:レーザービームシミュレーション

  • 回折伝播部分は光源の中で行われる。
  • Distance to Input Plane (Basic Parameters)のオプションを使用して、対応する曲率を自動的に計算する。
  • 後に続く伝播は、光線追跡によって行われる。

光線追跡を使用した最初の光学系解析

Ray Tracing System Analyzerを使用すると、システムのすべての必要な部分を通る光線の伝播を3Dで表示することができる。
→可視評価:最後に、光線は全て同じ方向へ集光する。

光線追跡をつうじて、代表的なスポットダイアグラムを生成することができる。
→配光の変調に関する情報はない。

file used: BDS.0001_Collimation_of_DiodeLaser_01_RayTracing.lpd

光線追跡:2D方向スポットダイアグラム

  • VirtualLabは、スポットダイアグラムのための多様な表示オプションを提供している。
  • 例えば、各光線のノーマル方向ベクトルのX成分およびY 成分に隣接する(Sx、Sy)が最後のレンズの後に示される。
  • 小さなスケールは、Sz要素がおおよそ1であることを示し、したがって、すべての光線は非常によくコリメートされている。 

file used: BDS.0001_Collimation_of_DiodeLaser_01_RayTracing.lpd

光線追跡:波面エラー検出

  • 波面エラー専用ディテクタは、位相収差に比例した光路長の残りの違いを確認することができる。
  • さらに、このディテクタは、波面エラー:~0.03 λRMS 値を出力する。
  • また、これもコリメーションの成功を証明している。

file used: BDS.0001_Collimation_of_DiodeLaser_01_RayTracing.lpd

フィールドトレーシング:レーザービームシミュレーション

  • このClassic Field Tracingエンジンは、回折によって誘発された発散を自動的に考慮する。
  • そこで、ウエストからレンズ面までの合計の自由空間伝播距離素子位置を介して3.6915mmと指定する。

フィールドトレーシング:強度分布

  • 完全な電磁場をトレースすることにより、強度分布を評価することができる。
  • 隣接する二乗振幅値は、疑似カラー(逆虹彩)および1 次元横断面(X 軸に沿った)で表示される。
  • さらに、VirtualLab は、フルフィールド内で特定のパーセンテージのパワーがあるエリアを計算することができる。
    例)コリメートされている間に、ビームの約99%のパワーが約3.1mm×4.8mm 内に位置するようにビームが拡大される。

file used: BDS.0001_Collimation_of_DiodeLaser_02_FieldTracing.lpd

フィールドトレーシング:位相分布

  • 通常、VirtualLabは光の位相値を2πモジュロディスプレイモードで表示する。
  • スマートサンプリングにより、VirtualLabは解析的に位相のパーツ(例えばsphericalphase factor)を保存することができる。
  • 1次元および2次元の評価は、最終的な位相(spherical phase  factorを含む)が非常に小さな変調しか示さないことを示し、したがって波面はほぼ平面である。
    非常に良くコリメートされている

file used: BDS.0001_Collimation_of_DiodeLaser_02_FieldTracing.lpd

フィールドトレーシング:ビームパラメータディテクタの結果

  • VirtualLabは多様な数値ディテクタを提供する。
  • 評価はsecond momentum methodに基づく、いわゆるビームパラメータディテクタからの結果に隣接する。
  • 結果として生じる小さな発散角はまた、ビームがうまくコリメートされることを証明する。
  • ビームクリッピングのために、ビーム品質()はわずかに低減される。この減少は、非点収差レーザービームのためにX方向およびY方向に対して異なる。 

file used: BDS.0001_Collimation_of_DiodeLaser_02_FieldTracing.lpd

まとめ

非点収差レーザーダイオードのコリメーションのためのレンズ光学系のパフォーマンスを以下の手順で調査した:

第一ステップ
波面エラー計算の光線追跡評価

第二ステップ
回折効果を引き起こすビームクリッピングとビーム品質への影響を確認するためのフィールドトレーシング評価

参考文献

  • Get Started 動画
    – Introduction to the Light Path Diagram

    – Introduction to the Parameter Run

    – Introduction to Parametric Optimization