TECHNICAL KNOWLEDGEBASE
【Basic Edition】
2023-06-16
超短パルス変調
キーワード: | fs pulses、 material dispersion、 pulse propagation、 ultrafast optics、 ultrashort pulses |
必須ツールボックス: | Starter Toolbox |
関連チュートリアル: | Tutorial 41.01 |
VirtualLab™ では光学系に超短パルスを伝播するモデリングが可能です。本記事では基本技術を紹介します。
はじめに VirtualLab™ におけるパルスモデリングのコンセプト
パルス伝播
- 全電磁フィールドにおいて、パルスは電界と磁界E(r,t)とH(r,t)からなる、6つの実値コンポーネントを含んでおります。 LightTransではこれらのコンポーネントをU(r,t)と示しております。
- VirtualLab ではパルスの伝播シミュレーションが可能です。 パルスは入射面においてΩinと定義されます。 パルスは、光学系を伝播され出射面にてΩoutとして定義されます。 数学的には下記のように示されます:
複素フィールド
- 伝播時間はtとして示されます
- パルスの持続時間はΔtとして示されます。一般的に、持続時間はラテラル位置と、伝播による変化となります。
- パルスはキャリアー周波数ωを含みます
- 光学系に一般的ですが、VirtualLab™でも、複素フィールドUcを実フィールド・コンポーネントUに代わり採用しております。数式は下記の通りです:
時間的フーリエ変換
- あらゆる点r=(x,y,z)において、タイムドメインにおけるフィールドコンポーネントは、フーリエ変換の周波数ドメインにおけるカウンターパートの関係となります:
- 複素フィールド・コンポーネントUcは、アナログ定義が保たれます
包括機能
- VirtualLab では、シミュレーションに、包括機能Ueコンセプトを用いております。 包括機能は、位置t周辺にて、キャリアーファクターを持たないタイムドメインe-iωtを持つパルスとして示されます。 定義は下記となります:
これに、スペクトル情報を加味し
VirtualLab™によるシミュレーション 1
- VirtualLab™は (6)の以下をハーモニックフィールドセットとしております
- 周波数サンプリングは、入射面においてΩinとして光源ダイアログで定義されます。 これにより、幾つのハーモニックフィールドを伝播するか定義されます。
- サンプリング負荷を軽減するために、VirtualLab は、適正な周波数サンプリングUeを (6) にのみ適用します
- (6) の位相ファクター は、タイムドメインにフーリエ変換する前に解説的に扱われます。 ここでeiωt は、Optical Path Length (OPL)Analyzerにて、算出されます。
均質媒体内のパルス伝播
VirtualLab™によるシミュレーション:例
- 例には、空気中のフェムト秒パルスの伝播を採用します
- サンプルファイル:
Tutorial_33.01_VLF1_free_space_propagation.lpd - 光源は、10 fs パルス、キャリアー波長 800 nmです。 29のハーモニックフィールドからなります。
- パルスの伝播距離:10 mm
- Light Path Diagram(LPD)を起動
- ハーモニックフィールドセット(HFS)の結果
Field Evaluation Tools
- VirtualLab™ 4.5 以降のバージョンでは、パルスのタイムドメインをField Evaluation Toolsで解析可能です
- For pulse modeling a new diagram type has been introduced.
- It allows investigation of amplitude, phase, …
- In particular it allows the temporal Fourier transformation
Optical Path Length (OPL) Analyzer
- フーリエ変換前に、タイムシフトをOPL Analyzerにて計算する必要があります
- タイムシフト: 33.366 ps
- コピー&ペーストにて、フーリエ変換に加えます
時間的フーリエ変換
Real Field Converter のEnvelope
- 反転時間的フーリエ変換は、タイムドメインの包括機能を生みます
- Envelope to Real Field Converterにより、e-iωtを包括機能に掛け算します。 これにはキャリアー周波数が含まれます。 数式 (2) は、”Real Field Component”に混合されます。
- 高いキャリアー周波数により、タイムドメインにおけるオーバーサンプリングをFactor 10またはそれ以上とする事で、最適な結果を得る事ができます
VirtualLab™におけるシミュレーション:例
- オーバーサンプリングをFactor 20とし反転フーリエ変換にて、包括機能を計算します
Line Evaluation Tool
- ”Point Evaluation”や”Line Evaluation”により面上のライン沿いに下記を得る事が可能です:
VirtualLab™におけるシミュレーション:例
• シミュレーションされたHFSにおける、ライン表示
- Line Evaluation Tool の活用
フェムト秒パルス光源の仕様
フィールドを時間と空間に分離
- パルスモデリングにおいて、入射面を分離してアプローチする手法は広く知られております:
- 包括機能のコンセプトを用います
が入射面にあると想定
- スペクトルの結果は下記となります:
ガウシアンタイプの包括機能
- 注目すべきは、ガウシアンタイプの包括機能に分割フォームのパルス
- 時間的なガウシアンタイプの包括機能において、周波数スペクトラムは、解析的にガウシアンとしても計算可能です:
- VirtualLab™ において、ガウシアン・パルス・スペクトラムは、パルス持続をFWHMまたは、1/e 値(インテンシティーに対し)、キャリアー波長、ガウシアンの時間と周波数ドメインの切り捨てなどから定義されます
一般的に、持続中に伝播パルスは増加します。 Time windowはこれに従い決定します。
パルス仕様
- 包括スペクトラムは、VirtualLab™ におけるあらゆる光源に”Spectral Parameters Tab”を用いて採用する事が可能です
パルス光源がシミュレーション可能な状態となりました!
素材ディスパージョンのための Smart Sampling Reduction
- 素材のディスパージョンの影響を加味したフェムト秒パルスモデリングには、LightTrans社では、 VirtualLab™ のシミュレーションにおいて、演算精度をDouble Precisionに向上する事をお奨めします
この時点で、この作業を行って下さい!!!
VirtualLab™におけるシミュレーション:例
- ここでの例では、フェムト秒パルスの水中伝播を考慮します
- サンプルファイル:
Tutorial_33.01_VLF2_material_dispersion.lpd - 光源の仕様: キャリアーありの10フェムト秒パルス、波長:800nm、ハーモニックフィールド数:29
- パルス伝播距離: 100 mm
- 水のディスパージョンデータ:
Initial Time Window
- ”Envelope spectrum”の設定画面
Time Window: 182.3 fs
Initial Time Window
- パルス包括機能の仕様は、シミュレーションに採用可能なタイムウィンドウが含まれます
- タイムウィンドウは、下記にてオーダーとして増やす事が可能です
- しかし、伝播されるハーモニックフィールド数も増加します
- 問題点: 素材ディスパージョンは一般的に、パルスの著しい拡大に直結します。結果としてパルスは、タイムウィンドウがAliasing(偽信号)を避けるように調整される必要があります。
- この問題点の例を次頁以降に説明します
VirtualLab™におけるシミュレーション:例
- サンプルファイルの結果
Point evaluation (0,0) - 包括波長の倍率
- 包括波長の位相
ランダム上に固定
推理: 低サンプリング
- OPL Analyzer の実行
- タイムシフトの計算: 449.358 ps
- 反転フーリエ変換の実行
- 包括Envelopeの結果:
- 結果には物理的な意味がありません。 タイムウィンドウはハウスパルスに対し、小さ過ぎます。
初期タイムウィンドウのサイズ?
- 本例では、結果として得られたパルスは数psのサイズとなりました
- 初期タイムウィンドウの準備には、250 ハーモニックフィールドが必要です!
迅速なシミュレーションとしては有効ではありません!
素材ディスパージョンの”Smart Inclusion”
- VirtualLab™ では、この問題に、スマートな解決策を用意しております
- OPL analyzerは、素材ディスパージョンにより位相に変化を来します:
Phase residual - 任意の微小周波数サンプリングに対し計算する事が可能です
- スマートな処理により、ハウスパルスが初期値より増加する事からタイムウィンドウの増加を可能としております
- 次項にこの手法をデモンストレートします
OPL Analyzerによる位相残余の計算
- 周波数サンプリングを”Automatic”モードに設定します
- OPL Anlyzerを開始します
素材ディスパージョンによる、位相残余
- 反転フーリエ変換の実行
- 計算された位相残余ダイアグラムを含める
結果として得られたタイムドメインにおけるパルスEnvelope
- 位相残余を含む事により、タイムウィンドウの増加を、1000ものハーモニックフィールドの伝播無しで可能となりました!
- パルスのモデリングにおいて、非常に有効なテクニックです
まとめ
- 近日中に発表予定のアプリケーション・ドキュメント:
– フェムト秒パルスのアパチャーに対する回折現象
– フェムト秒パルスのグレーティングによる回折現象 - フェムト秒パルスのモデリング機能をVirtualLab™に採用する上で、ユーザーの皆さまのご協力をお願いしております。 現行の機能を向上するために必要な新たな機能に対する、ご意見、ご要望を是非お聞かせ下さい。
- VirtualLab™にご興味をお持ちいただき、ありがとうございます