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2023-03-06

回折格子の粗面によって影響を受ける回折次数効率の解析

モデリング概要

  • 正弦波回折格子の回折次数毎の効率の厳密解析
  • このシミュレーションでは、フーリエモーダル法(FMM/RCWA)を適用しました

 モデリング概要:正弦波回折格子

  • x-z方向(横断面図):

  • 回折格子のパラメータ:
    周期:0.908µm
    高さ:1.15µm

(これらのパラメータは、0次および±1次光の回折次数の均一に分布した透過効率を提供します。詳細についてはシナリオ341をご参照ください。)

モデリング概要

  • VirtualLabGrating Toolboxでは、例えば回折格子の回折効率等の厳密計算を可能にするGrating Order Analyzerが使用できます
  • このanalyzerでは、回折次数毎に現れる回折効率を別々に計算できます

 滑らかな構造の解析

  • 回折効率を計算した後、結果を、例えば、いわゆるOrder Collection diagramで表示することができます
  • 滑らかで非摂動の構造パラメータに関して、0次と±1次光の回折次数がそれぞれ約32%の透過効率を示しました

 表面粗さの追加

  • VirtualLabGrating Toolboxでは、2つのインタフェースの組み合わせ(すなわち追加)が可能です
  • 従って、任意の形状の回折格子(例えば正弦波)を粗面と組み合わせることができ、粗い回折格子の形状を得ることができます

 表面粗さの追加

  • 粗面には、表面のバリエーション(例:周期化)を設定するためのいくつかのオプションがあります
  • 最初の重要な物理パラメータは、いわゆる、Smallest Feature Sizeです
  • 二番目の物理パラメータは、Total Height Modulationを決定します

 回折次数効率に及ぼす影響

粗さパラメータ

  • Smallest Feature Size20nm
  • Total Height Modulation200nm

高さプロファイル:

効率:


  • 計算された効率では、わずかな影響を示しました

 回折次数効率に及ぼす影響

粗さパラメータ

  • Smallest Feature Size20nm
  • Total Height Modulation400nm

高さプロファイル:

効率:


  • 粗さの全高が大きいため、±1次を考慮した効率にわずかな非対称性が引き起こされています

 回折次数効率に及ぼす影響

粗さパラメータ

  • Smallest Feature Size40nm
  • Total Height Modulation200nm

高さプロファイル:

効率:

  • "Smallest Feature Size"が高いほど、0次回折光の透過効率は低下します

 回折次数効率に及ぼす影響

粗さパラメータ

  • Smallest Feature Size40nm
  • Total Height Modulation400nm

高さプロファイル:

効率:

  • 粗さが大きいと0次の効率はさらに低下し、一方で±1次の効率の非対称性が上がります

まとめ

  • VirtualLabGrating Toolboxでは、任意の形状のグレーティング構造
    (例:表面粗さの追加を含む正弦波)の厳密な解析が可能です
  • このタイプの解析のために、完全にベクトル性のフーリエモーダル法が VirtualLabに実装されました
  • "Grating Order Analyzer"では、全体または各次数固有の回折効率の計算が可能です
  • VirtualLabのグレーティングツールボックスによりグレーティング表面の粗さを考慮します
    こうして、素子製造中に起こる構造偏差を推定することができます

※文中のGrating Toolboxの機能は現在のAdvanced Editionに含まれます