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2023-03-13

空間光変調器(SLM)のピクセルにおける光の回折のシミュレーション

アプリケーション事例の要約

  • 光源 :ガウシアンレーザービーム 
  • 構成 :反射型SLMとその後に続く2f光学系 
  • ディテクタ:視覚の模倣 / 電磁場分布 
  • モデリング/設計 :フィールド トレーシング 
    SLMピクセル間の非機能性ギャップによって引き起こされる回折効果を含むSLMピクセルアレイでの光の伝播シミュレーション

システム図

モデリングと設計の結果

異なるSLMエリアフィルファクターの結果

まとめ

SLMピクセル間のギャップを考慮したSLMの光学性能を検証する。

第一段階
以前設計されたレーザビーム整形のためのSLM透過関数へギャップを導入する

第二段階
異なるエリアフィルファクターの光学性能への影響を解析する

発生する回折効果はSL Mの光学関数および効率に大きな影響を与える。

詳細なアプリケーション例 システムパラメーター

関連するアプリケーション例

シミュレーション課題

製造上および技術上の問題で非機能性ギャップがすべてのピクセルの間に存在する。これらの特徴的なギャップは、SLMの光学性能において回折効果を有しており、以下のように検証される。

仕様:ほぼコリメートされた入射レーザビーム

SLM.0001と同じ

仕様:SLM透過関数

所望のトップハットビーム形状を生成する透過関数(SLM.0001で設計されたもの)

仕様:SLMピクセルアレイ

アプリケーション事例の詳細 シミュレーションと結果

VirtualLabにおけるギャップのあるSLMのシミュレーション

  • コンポーネントが組み込まれているので、VirtualLab では反射光学系(ミラー、2f光学系など)を簡単に構築することが可能である。
  • 提供されたSLMモジュールは、単純な透過関数からピクセルとギャップを含むアレイへの自動変換を可能にする。

VirtualLabのSLMモジュール

  • ピクセルアレイを設定するため、アレイのサイズエリアフィルファクターが入力される必要がある。
  • 設計されたSLM の透過関数を設定される必要がある。したがって、ファイルSLM_Transmission_Function.ca2 のパスを入力する必要がある。

SLMの光学関数

  • 最初のステップとして、SLMの背後にある電磁場を調べる。
  • そのためには、60%のエリアフィルファクターが使用される。
  • まず、電場の振幅(Ex成分)が示され、これは、SLMピクセルおよびギャップの影響を示している。

SLMの光学関数

  • ここでは、この電場の(折り返された)位相(Ex成分)が示されており、すべてのギャップで一定の値を示している。

比較 グレーティングの光学性能

  • 実証されたピクセル化効果は、同様の2D周期構造の光学関数と比較することができる。
  • ここで示された関数(振幅Ex)は、ピクセルが一定の位相関数を示すSLMに匹敵する。

  • このような回折格子は、光をx方向とy方向に分布する複数の回折次数へ回折させる。(2D周期構造に起因する)
  • 高次の振幅(および強度)は非常に速く減衰するため、0次、1次および2次だけが光の大部分に寄与する。
  • つまり、SLMの場合、強度がエリアフィルファクターによって決定される所望の分布(例:トップハット)より高い次数も期待できることを意味する。

ギャップを有するSLMの光学関数

ここでは、ピクセルアレイのエリアフィルファクターによる、フーリエ面内のSL Mの光学関数を調べることができる。

ギャップを有するSLMの光学関数

ここでは、同じ振幅スケール(Ex成分)での光の分布を示している。

計算量の削減

必要なサンプル:各辺最低1点のギャップ
例えばユーザーが指定した60%のエリアフィルファクターモジュールは、アクティブエリア内の5×5ポイントを等間隔サンプリングにて計算する。

必要なサンプル:同様に最低1点のギャップ
90%のエリアフィルファクターの場合、アクティブエリア内の25×25サンプリングポイントであること
大きなフィルファクターに関してはサンプリングが急激に増加する

計算量の削減

  • 大きなフィルファクターの場合に計算量を最適化するためには、関連するアレイのサイズを小さくすることが有効である。
  • このように単純化することは、発光された領域がアレイのサイズよりも小さい(図の赤色で囲まれた領域が強度の90%を含む)場合に特に効果的である。
  • 赤く囲まれた領域のみの場合、320×320ピクセルのSLMピクセルのみが考慮される。(SLMモジュールは自動的に透過関数の境界を切断する)。
  • この最適化により、計算量は4.7%減少する。

計算量の削減

90%エリアフィルファクター(フルアレイ

90%エリアフィルファクター(縮小されたアレイサイズ

SLMアレイ領域の縮小は電磁場の振幅分布についてほぼ同じ結果をもたらす!

特定のエリアフィルファクターのシミュレーション

  • 浜松ホトニクス社X 10468 の特定領域、エリアフィルファクター98%の計算は、ギャップが非常に狭いため、かなり多くのサンプリングポイントを必要とする。
  • 792×600ピクセルのフルアレイであれば79992 x 60600サンプリングポイントとなり非常に高い計算量を要する。
  • 従って、アレイサイズを320×320 ピクセル、サンプリングは32320 x 32320減少させることが適当となる。
  • この最適化の力を借りて、特定のエリアフィルファクターが調べられる(ただしこのシミュレーションであっても約RAM 256GBを要する)。

結果:

まとめ

SLMピクセル間のギャップを考慮したSLMの光学性能を検証する。

第一段階
以前設計されたレーザビーム整形のためのSLM透過関数へギャップを導入する

第二段階
異なるエリアフィルファクターの光学性能への影響を解析する

発生する回折効果はSLMの光学関数および効率に大きな影響を与える。

参考文献

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